健康保険事務と番号制度
POINT
- 個人番号を利用できる事務は施行規則で限定的に規定
- 健康保険組合での利用開始(届書への個人番号記載)は平成29年1月(予定)から
- 他の行政機関等との個人番号を利用した情報連携は平成29年7月から
番号利用法と健康保険制度
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健康保険組合は、① 個人番号を書類の受理や情報の管理などに利用し、② 情報提供ネットワークシステムを利用して特定個人情報(※)を提供することができるとされています。(番号利用法第9条第1項、第19条第7項)
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個人番号を利用することができる事務、情報連携を行う事務及び対象となる特定個人情報等は、番号利用法及び厚生労働省令で限定的に規定され、健康保険の申請等手続きについては健康保険施行規則で整備されます。
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平成29年1月より、健康保険の各種手続きで個人番号の利用を開始し、「被保険者資格取得届」「被扶養者異動届」等の届出に被保険者及び被扶養者(以下「加入者」という。)の個人番号の記入が必要になります。
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平成29年7月より、健康保険の各種手続きで市区町村及びその他医療保険者等との間で情報連携を開始し、一部の手続きでこれまで必要とされていた書類の添付が省略されます。
- 特定個人情報(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他符号であって、住民票コード以外のものを含む)をその内容に含む個人情報を指す。
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参考法令 番号利用法
平成29年1月~番号利用
健康保険の各種手続きでの個人番号の利用開始月は、平成29年1月を予定しています。
① 個人番号を利用することができる事務
健康保険組合は、「健康保険法による保険給付の支給又は保険料等の徴収に関する事務であって主務省令で定めるもの」(番号利用法附則別表第1)について、個人番号を利用します。
個人番号を利用する事務の一例
- 加入者からの申請の受理及び申請に係る審査等に関する事務
- 保険証、高齢受給者証に関する事務
- 傷病手当金、出産手当金等の保険給付に関する事務
- 任意継続被保険者の保険料納付等に関する事務
② 番号利用開始後の手続き
健康保険法施行規則が改正され、申請書等の様式に個人番号の記載欄が追加されます。様式に個人番号が追加される届書及び申請書等の様式など詳細は、随時ホームページ等でお知らせいたします。
- 被保険者証、決定通知書等の様式については、個人番号の記載欄の追加の予定はありません。
- 平成29年1月以降、事業主は、被保険者に「本人確認」を行い、個人番号を取得し、健康保険組合には個人番号を記入した届書(被保険者資格取得届など)の提出が必要になります。
- 既存の加入者の個人番号については、平成28年9月中旬以降、個人番号の提出をお願いする予定です(個人番号収集)。
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詳細は ITS健保の番号制度の取り組み_個人番号収集について をご参照ください。
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平成29年7月~情報連携
平成29年7月1日より、健康保険の各種手続きで市区町村及びその他医療保険者等と情報連携を開始し、一部の手続きでこれまで必要とされていた書類の添付が省略されます。
① 情報連携を行う事務の範囲
健康保険組合が情報連携を行う主たる事務は、「健康保険法による保険給付の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの」(番号利用法附則別表第2)です。
情報連携を行う手続きの一例
- 傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金等の支給申請
- 被扶養者異動届の届出
- 高齢受給者証の一部負担割合の軽減申請
- 限度額適用・標準負担額減額認定証の認定
② 情報連携開始後の事務手続き
- 番号利用法に伴う整備省令が公布され、健康保険法施行規則が改正されることに伴い、平成29年7月以降、保険給付の申請書等にこれまで必要であった添付書類の一部を省略することができます。
- 今後の法改正等により、平成29年7月以降、被扶養者異動届の届出等も情報連携の対象となる予定です。
- 被扶養者異動届等の提出にあたり、健康保険組合が市区町村及びその他医療保険者と情報連携することで、市役所等での添付書類の交付手続きが省略されます(下記イメージ図参照)。
③ 情報連携の概要
- 健康保険組合は、医療保険者等向け「中間サーバー」を経由し、総務省所管の「情報提供ネットワークシステム」を介することで、地方公共団体と情報連携を行います。
- 番号制度における個人情報の管理は、特定の機関に個人情報を集約する「一元管理」の方法をとらず、従来どおり各機関にて「分散管理」し、情報連携に限り各機関の間で情報の照会・提供を行います。
- 情報連携に必要なシステムインフラ及び法整備等については、現在関係省庁において調整中です。このため、情報連携に係る健康保険手続きの詳細等につきましては、今後、ホームページ等でお知らせいたします。
【番号制度における情報連携の概要】
番号制度導入に向けての健康保険組合の対応
① 特定個人情報保護評価の実施
総合型の健康保険組合は、個人番号をその内容に含む「特定個人情報ファイル」を保有するにあたり、漏えいなどのリスクを軽減する措置等を講じるため、「特定個人情報保護評価(Privacy Impact Assessment)」(以下「評価書」という。)の実施が義務付けられています。
- 番号利用及び情報連携の各局面において、特定個人情報ファイルに関する事務運用やシステムに係る項目を評価した評価書を作成します。
- 作成した評価書は、組合ホームページに30日間公表し、国民の意見を聴取したうえで、個人情報保護委員会(※)へ提出いたします。
- 個人情報保護委員会の承認を得たうえで、健康保険組合は個人番号を取扱います。
- 個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講じることを任務とする内閣府外局の第三者機関。
個人情報保護委員会 https://www.ppc.go.jp/
② 安全管理措置の実施
健康保険組合は、特定個人情報について厳重かつ適切な取り扱いを実施するため、個人情報保護法の規定に基づく安全管理措置を引き続き講じると共に、番号利用法第12条及び「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」「特定個人情報に関する安全管理措置」
に基づき、規定の見直しや安全管理措置を講じます。
【安全管理措置の対応事例】