高齢者医療制度の財政調整について

高齢になると病気にかかりやすく治療が必要となるため、医療費がかさみます。少子高齢化の進行より高齢者の医療費は年々増加しており、国民の医療費の6割を超えています。

この高齢者の医療費は現役世代の多くが加入する健康保険組合が支える仕組みとなっているため、前期高齢者(65~74歳)の加入者が多い国民健康保険の財政支援として納める「前期高齢者納付金」と後期高齢者(75歳以上)の医療費支援として納める「後期高齢者支援金」を高齢者医療制度の支援として国に毎年支払っています。

少子高齢化の動向

  • 65歳以上人口は「団塊の世代」が65歳以上となった2015年に3,379万人、75歳以上となる2025年には3,677万人に達する見込みです。その後も増加傾向が続き2042年に3,935万人でピークを迎えます。
  • 高齢化率は上昇を続け、2065年には38.4%に達して、国民の約2.6人に1人が65歳以上となります。
少子高齢化の動向
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前期高齢者医療費の財政調整

ITS健保は加入者の前期高齢者医療費の約12倍を負担

  • 前期高齢者(65~74歳)の医療費の多くは、市町村国保等がその多くを負担しており、この負担増を緩和するため、前期高齢者が少ない(前期高齢者加入率の低い)医療保険者から納付金を集め、これを財源として、前期高齢者の多い(前期高齢者加入率が高い)保険者に交付金として交付する「財政調整」を行っています。
  • 財政調整の具体的なイメージは、すべての医療保険者に全国平均の加入率と同等の前期高齢者がいると仮定し、自己の加入率と比較し、加入率の高い保険者にはその差額が交付金とし交付され、少ない保険者はその差額を納付金として納付する仕組みとしています。【下図参照】
前期高齢者医療費の財政調整
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前期高齢者医療費の財政調整
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後期高齢者医療費の財政調整

  • 平成20年4月より被用者保険・市町村国保等から独立して、後期高齢者(75歳以上)を被保険者とする後期高齢者医療制度が創設されました。後期高齢者に係る医療費の財源は、公費(税)負担 47%、現役世代負担 41%、後期高齢者の保険料 12%をそれぞれ負担します。【下図参照】
  • 健康保険組合ほか被用者保険は、現役世代の負担として後期高齢者支援金を拠出します。この支援金は、制度創設時は各保険者の加入者数に応じて負担しましたが(割勘方式、加入者割)、平成29年度以降は各保険者の財政規模に応じて算定する仕組み(体力按分、総報酬割)に改正されました。
  • また、平成30年度より「予防・健康づくり」の総合的な取組みを評価し、支援金の減算措置(インセンティブ)の大幅な見直し(最大10%の減算)が行われました。【下数式 ※参照】
後期高齢者医療費の財政調整
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